川添日記

戦争が終わった年に姫路城の大門のそばで生まれ、18歳まで過ごす。当時、荒れ果てていた城の中が遊び場で、城内の部屋には古い着物や食器、書物などが山のように積み上げられ、着物の柄などは今でも覚えている、という。(姫路城 https://ja.wikipedia.org/wiki/姫路城 )

年に一度、城の内堀、外堀の水を抜く大掃除がある時は、学校を休んで友達と一緒に堀に降り、生きた鯉を捕まえたが、そんなことで両親に叱られた記憶はない。小中学生の頃は国内の絵画コンクールに時々応募し、高校生になると一人で近くの山に入り、絵を描いている子だった。

京都で過ごした短大時代、登山に目覚め、部活動で地方に出かけ、山登りに明け暮れていた。人間の素晴らしさに気がつき出したのはこの頃だという。約50年前、四国の山で出会った木こり(林業者)から、荒れていく日本の山の実態を聞かされた。ちょうど山村の過疎化が進み、山の手入れをする人が減る一方の時代だった。

経済の高度成長期、安い木材が輸入され、建築に外材や合板が使われ始めていた。住宅建設ブームが始まり、生活の中にプラスティック製品があふれ、あちこちで古い住宅が壊され、漆器や木のタンスがどんどん捨てられた。

この光景をを目の当たりにして、初めて「日本は木の国」であることに目覚めたという。以来、樹齢100年の木は、人の手により100年生かされるを座右の銘に、子や孫に100年伝えていける漆器を作り続けている。

独学で日本の草花をデザインし、暮らしの中で使われた伝統食器を彫って、発表し、購入した顧客との交流は40年もの長きにわたる。

70歳代の後半に入って今、残された時間は絵の勉強を一からやり直したいと考えている。

【川添日記 略歴】

1974年                   香川県高松市にて木彫りを始める

1994〜2021年(毎年)    阪急うめだ本店にて個展

1998〜2008年               東武百貨店池袋店美術画廊にて個展

1999〜2013年       大丸神戸店美術画廊にて個展

2003〜2008年                    玉川高島屋アートサロンにて個展

2007〜2017年(隔年)   横浜高島屋美術画廊にて個展

2009〜2017年(毎年)   伊勢丹新宿店にて個展